タンポポ調査・近畿2005予備調査実施要項(第1版) |
1.はじめに―「タンポポ調査・近畿2005」に向けて |
1970年代の初期は、日本の高度経済成長がピークを迎え、一方で各地で自然破壊や公害が進行した時期です。それに対して、自分たちがくらす地域を自然破壊や公害から守るために、あちこちで市民運動が起きました。この時、環境の指標となる生物を調査することで、自分達の住む地域の環境を知ろうという活動が行われました。 そのような調査の一つとして、全国各地で最も広く行われてきたのがタンポポ調査です。 タンポポ調査は、当時京都大学の教養部におられた堀田満さんが推進されたもので、タンポポを探して、種類が日本在来のタンポポか、外国から持ち込まれた外来種(帰化種)かを調べて分布地図を作成するというものです。1970年代に入って各地で予備的な調査が行われ、1974年から1975年にかけて大阪府全域での大規模な調査が行われました。 簡単に誰でもが参加でき、その結果がはっきりとして分かりやすい調査であったために、このタンポポ調査はやがて全国に広がり、また大阪府下ではそれ以降5年おきに同様の調査が継続されています。 それ以後、近畿地方でも府県単位、あるいは市町村や学校の校区など、さまざまな単位での調査が行われてきました。 それらのデータを比較すると、例えば1970年〜80年代の大阪府下での急速な帰化タンポポの増加と同じような現象が1990年代になって滋賀県で起こっているように見えるなど、より広域で調査するとさらに多くのことがわかります。 そこで私たちは、2005年に近畿圏全域でのタンポポ調査を行って、この時点での近畿地方のタンポポの分布状況から近畿の環境の現状を把握したいと考えました。それとともに、これまでに蓄積されてきたデータを集大成して、タンポポの分布の変化を知ろうとも考えています。 本調査は2005年春に近畿全域で大規模に行う予定で準備を進めていますが、その調査が成功するように、本調査の調査体制や調査方法などを確定するとともに、そのデータを本調査にも生かすことを目的として、2004年春に予備調査を行うことを計画しました。 多数の団体や個人の方々のご参加をよろしくお願い致します。 |