第16期春夏コース第4回講座 奈良公園の自然 

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第4回講座 奈良公園の自然  (2018.4.25)

講座内容 奈良公園の樹木とサクセッション
講師 佐藤 治雄(大阪府立大学名誉教授/自然環境市民大学代表講師)
場所 奈良公園(飛火野、ナギ林など)

本日はフジが見ごろ、その中での講座。座学で学んだことを、野外にて実際にカラダで感じる講座のはじまり。写真の上にマウスを置くとフジが見える。

樹木による被陰というストレスや、シカによる摂食というストレスで植物(芝)の背が低くなったり裸地化したりする。植物(群落)の高さに注目して観察するといろいろなことが分かってくる。コモンズの悲劇を例に説明があった。

この木において、表と裏では生物にとって生存可能な環境かそうでない環境かが顕著に表れている。生存可能な環境にはノキシノブやコケが生育している。その違いは、ここでは雨があたるかあたらないかであろうと考えられる。  


シカがアラカシなどの樹木を食べるため下枝の高さがほぼ一定である(約1.8m)これをdeer-line(ディアライン)と呼ぶ。イチイガシも葉を裂くとノコギリ状になった。写真の上にマウスを置くと、ノコギリ状に裂けたアラカシの葉が見える。


幹の中心部が完全に腐朽して空洞になったムクロジの大木。幹に空いた穴から幹の内部が見える。写真の上にマウスを置くと、以前、穴からカメラを差し入れて写した煙突状の幹の内部が見える。

サイカチの葉は、どれが1枚の葉か?という質問があった。サイカチは通常1回羽状複葉で、時には2回羽状複葉になることもある。写真の上にマウスを置くと、2枚の羽状複葉が見える。

サクセッションについて。
湿性遷移 沼や池、湖は必ず埋まって陸地化するが、この雪消の沢(ゆきげのさわ)は池としての景観を保つため、適宜管理されている。
乾性遷移 陸地では、人間が何もしなければ森林へ向かって植生が変化していく。植栽した樹木の保護のため柵をしたこの場所ではシカの影響を受けないので、多種の樹木が芽生え、遷移の初期の様子を見ることができる。

林の中に、何らかの影響(例えば、倒木など)で空間が出来ることをギャップ(隙間)という。ギャップの中では、まず、明るいところを好む植物が生育し、やがて環境の変化により生育する植物も変化していく。

天然記念物に指定されているナギの森林。ナギの樹皮には他の植物の生育を阻害するアレロパシーという現象を引き起こす物質が含まれているといわれている。ナギの葉は平行脈であり、破れにくいのが特徴。写真の上にマウスを置くとナギの葉が見える。

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