都市と自然誌抜粋(トピック)No_447_201306
「都市と自然」誌の内容を一部ご紹介します。
今後は、広くみなさんに当協会の活動を知って頂くために、「都市と自然」からピックアップして転載していく予定です。
報告 「チャリティネット森が好き!」が活動を始めています
寄付集めは、仲間集め。寄付行為を通じて里山・森林づくりへつなげる
文 金谷 薫(副会長・「チャリティネット森が好き!」運営事務局)
昨年5月より準備をはじめ、11月に寄付カタログが完成・発行され、これを中心にして「チャリティネット森が好き!」の活動が始まっています。これは、寄付行為と里山保全・森林づくり、一見、何の関連もなさそうなことを結び付けようとする新しい試みです。
この「チャリティネット森が好き!」はNPO法人里山倶楽部の寺川裕子さん(当協会の会員でもある)の呼びかけからスタートしました。この「チャリティネット森が好き!」は平成24年度の大阪府の「新しい公共支援事業」の委託事業として大阪府下の里山保全・森林づくり団体が連携して寄付募集を行う仕組みを作る事業で、正式の業務名は「森林保全活動活性化のための寄付ネットワーク構築事業」と言います。事業実施に当たっては事務局として4団体(NPO法人日本森林ボランティア協会、里山倶楽部、保全協会、とコーディネート役としてNPO法人E.D.E.N.:環境デザインエキスパーツ・ネットワーク)が集まり、具体的に寄付ネットワークの目標やあり方、具体的な仕組みを検討する作業を行いました。大阪府からの予算が拠出され、それを活用しながら寄付カタログづくり、広報イベントなどがこの1年間に展開されました。
出来上がった寄付カタログには府下40ほどの里山保全・森林づくりの活動が紹介されています。これを見た人たちが共感を覚えたら、そこへ寄付をしていただくという仕組みです。そのために里山保全・森林づくりチームの紹介だけでなく、この活動の趣旨、どんな作業にどれくらいの費用が必要かという目安、寄付金の流れなど、この活動のすべてが分かるように構成されています。
大阪の里山・森林は多くのNPOやボランティアが間伐や草刈植樹などの作業を行ってその保全に取り組んでいます。活動資金は会費や助成金のほか、炭薪などの生産販売や講座開催の自主事業、行政企業からの委託事業などの収入で賄われています。現在、経済的に成り立たないために放棄された里山・森林でのボランティアによる事業展開はかなり困難でいまだ運営に十分な収入を確保できていません。さらに近年は、里山・森林所有者や林業従事者の高齢化で加速度的に放置森林が増えつつあります。里山保全・森林づくり活動の枠を広げ、個人や企業がより気軽に里山保全・森林づくり活動に寄付できる仕組みを作り、社会的に認知された運動に拡大しようというのが今回のもくろみです。
市民の中には、自然の崩壊を危ぶみ、里山・森林の衰退を危惧する方も多いと想像できます。しかし、その先、何をしていいかも分からない、とっかかりがないという市民も多いのではないかと思われます.その時に身の回りに里山保全・森林づくりにつながるような仕掛けがあれば、それを活用して本人の気持ちを充足でき、さらに、それを通じて現場への参加の道が開けるかもしれません。寄付行為は里山保全・森林づくりの窓口でもあり、それが発展すれば里山保全・森林づくりを後押しすることになります。寄付行為が市民と現場をつなぐ働きをする由縁です。広く支援者を獲得するため、寄付者へのお礼状や高額寄付者へのお土産など今までとは違った取り組みもしています。
保全協会もこの活動の趣旨に賛同し、参画することになり、保全協会傘下や周辺の里山保全グループに呼びかけをしました。降って湧いたような寄付という話のため各グループにはちゅうちょがありました。
その中で学んだことは、何十もの里山保全・森林づくりグループが1冊のカタログに載った場合、見た人に区別がつくかどうです。ここで求められる第一歩は、他団体・グループと何が違うか、何をアピールできるかです。そういう視点で、活動を見直す必要に迫られました。これから活動を発展させていくためには周辺の人々の共感を得るアピール力が必要ということです。
「チャリティネット森が好き!」事務局では、寄付カタログを広く普及し寄付を募るには、単に寄付カタログを配布するだけでなく、これまでの参加者とは異なる新しい層に情報を届け共感してもらうようにイベント開催やツール開発、WEB充実などが重要と考え取り組みを展開しています。保全協会も寄付カタログ作りの後、取り組みが遅れています。寄付カタログの普及と共感者・仲間作りを合わせた活動を展開する必要があると考えています。寄付集めは、仲間集め、寄付募集はお金を集めるためだけのものではありません。活動への新しい参加者・支援者・理解者を増やす取り組みであり、広く社会的に支援してもらうという発想の転換が大切と考えます。寄付する側の市民にとっては社会参加につながる取り組みという視点が大切ではないでしょうか。なお、この事業は今年も別の助成金を受けて継続されます。
カタログの実物が欲しい方、寄付をお考えの方、詳しいことが知りたい方は、金谷もしくは下記連絡先までご連絡ください。
チャリ森運営事務局
TEL 072-333-0309(寺川)
E-mail info@chari-mori.net
2021年現在の問い合わせ先は、里山倶楽部へお願いします。http://satoyamaclub.org/contact