都市と自然誌抜粋(トピック)No_445_201304
「都市と自然」誌の内容を一部ご紹介します。
今後は、広くみなさんに当協会の活動を知って頂くために、「都市と自然」からピックアップして転載していく予定です。
特集 2012年度こんなことができました
2012年度も会員みなさんのご協力のおかげでたくさんの事業ができました。また、新しい事業も生まれました。これらの協会活動の一端を知っていただくために「特集」にまとめてみました。
- 公益法人化
- 協会ホームページの基盤整備がすすむ
- 一時休館された水道記念館の生物展示の存続運動
- 南港野鳥園の存廃問題
- 信太山丘陵に里山自然公園を!検討委員会が答申書提出へ
- 観察会の新しい動き
- 講座・観察会パンフレットのリニューアル
- チリメンモンスターWEBインタラクティブ図鑑を開発
公益法人化
文 栗谷 至(理事・総務広報部長)
ここ数年、公益法人化の作業を続けてきました。皆様方にもご尽力いただき、昨年4 月にようやく「公益社団法人」になることができました。厚く御礼申しあげます。
やれやれと思ったのも束の間、税務署から新定款のままでは税務上の優遇措置が適用されないと指摘されました。また、理事会に監事が欠席した場合の取扱いや事業計画・収支予算の決め方など改善点があることが判り、できたての定款を変更せねばなりませんでした。同時に、協会が開かれた組織であること、共益ではなく公益事業を行うこと、内部規程の整備など、公益法人として適切な状態にする必要があります。各グループの皆様にも規程などを整理・整備いただき、全体としてようやく形が整ってきたところです。まだまだ課題は多いと思いますが、今後ともご協力ご支援をよろしくお願いします。
協会ホームページの基盤整備がすすむ
文 田中 広樹(理事・総務広報部)
2011年8月にリニューアルした協会ホームページは2年目に入り、ますます多くの方に訪れていただいています。2012年には新たにチリモンW EB図鑑を作った関係もあり、サーバの増強をしました。それに伴い、ホームページ委員会が使用しているCMS(ホームページのコンテンツ管理システム)がバージョンアップされ、日常的な更新管理がまた少しやりやすくなりました。
また協会事務所の会議室予約に使用しているA ip oもバージョンアップされています。今や協会活動になくてはならないインターネットを、安全第一で運用していきたいと思います。
一時休館された水道記念館の生物展示の存続運動
文 加賀 まゆみ(理事・水道記念館と生物飼育を考えるネットワーク)
大阪市東淀川区にある水道記念館が、2012年4月より一時休館され、日本一の飼育数を誇る淡水魚水族展示が非公開になっている。
一時休館の目的は、生物展示の精査見直しということであった。
7月18日に「水都・大阪市の誇りである水道記念館と生物飼育の存続を要望します」という要望書を大阪市他に提出。8月15日に高田前会長を含む学者グループ『淀川水系の淡水魚を次世代につなぐ会』、同じように生物展示の存続を希望する一般市民の集まり『net淡水都』とネットワークを構成。9月4日にはネットワークで、代表者である綾史郎大阪工大教授が大阪市議長に陳情書を提出。
2013年1月31日には、保全協会と大阪市(水道局)で協議の場を持った。担当部局である水道局は、生物展示の精査もせず、市議会で廃止を打ち出している。廃止の理由は、費用対効果が見込めないという。儲からなければ、博物館相当施設である水族館はしないということだ。いずれにしろ、市民不在の決定は容認されることではなく再度要望書を提出した。3月5日には、ネットワークで水道局との協議の場を持つ。
南港野鳥園の存廃問題
文 清水 俊雄(日本野鳥の会大阪支部 幹事・大阪南港野鳥園を存続させる会)
1 「大阪市のパブリックコメントと市政改革プラン」 2012 年5 月大阪市は、橋下市長の施政下、市政改革プランの素案を策定し広く市民意見を募集しました。同年7 月には、市政改革プランの基本方針を策定しました。南港野鳥園は、事業見直しの対象とされ、施設の存廃についても検討する、との方向性が示されました。
2 「日本野鳥の会大阪支部が9月、大阪市長あてに意見書を提出」 大阪南港野鳥園は、地球規模で渡りをするシギ・チドリ類の中継地であり、まさに、生物多様性のホットスポット。大阪市は、公金を投入して生物の多様性・生態系を積極的に保全していこうとの姿勢を後退させてはいけません。
3 「大阪南港野鳥園を存続させる会発足」 9月20 日、環境保護5 団体(公益社団法人大阪自然環境保全協会、NPO 法人南港ウェットランドグループ、日本野鳥の会ひょうご、NPO 法人日本バードレスキュー協会、日本野鳥の会大阪支部)で大阪南港野鳥園を存続させる会を立ち上げました。
4 「南港野鳥園を存続させる会が大阪市に要望書を提出」 1 月21 日存続させる会が橋下大阪市長に対し、南港野鳥園の展望塔等の存続及び無料供用、指定管理者による施設の管理運営の維持について、回答を求めた要望書を提出しました。
5 「大阪市が南港野鳥園廃止の方針を決める」2 月20 日に大阪市の橋下市長以下の幹部会で南港野鳥園廃止の方針を決めました。
6 「今後の見通し」大阪市は、2013 年度末で、南港野鳥園の指定管理者制度は終了させるとしています。今後、港湾局、市政改革室、住之江区役所と野鳥園の方向性について協議していきます。皆様方のご支援をお願いいたします。
信太山丘陵に里山自然公園を! 検討委員会が答申書提出へ
文 金谷 薫(副会長・信太山に里山自然公園を求める連絡会)
信太山にとっての2012 年度は、前年の運動の成果をさらに確実なものに進める1 年でした。6 月にこの課題の和泉市の諮問機関として「和泉市信太山丘陵市有地保全・活用検討委員会」の設置が決定されました。それを構成する市民委員が公募され「信太山丘陵に里山自然公園を求める連絡会」からも応募しました。検討委員会の委員長には増田 昇 大阪府立大学大学院教授が選出されました。
昨年9 月7 日から今年1 月30 日まで5 回の検討委員会での審議の結果、答申書がまとめられ、2 月に市長に提出されました。
信太山丘陵を、和泉市の「市民の財産、地域のシンボルである。次の世代へ継承していく」と規定し「公民協働」により守っていくと理念で謳いました。しかし、まだゾーニング案も大まかなもので、2013 年度に市民によるワークショップが予定され、さらに里山公園実現への歩みを進めることになります。
保全協会は、11 月に夏原会長、藤原先生、畠代表が講師として参加し、シンポジウムの成功のために大いにバックアップしました。
観察会の新しい動き
文 早川 篤(理事・普及部長)
2012年度は、保全協会の中で観察会チーム作りの新しい動きがありました。
2012年4月から協会地域観察会の仲間入りをしたのが、まち中公園自然観察隊「マチコ」です。大阪の
街の真ん中で、ちょっと視点を変えて自然や生き物を満喫しようと、大阪市内の公園を利用して活動をしています。
二つ目は、学校等への環境学習の出前授業をする、環境学習チーム。子どもたちを対象に、自然環境や環境の現状について、知識や理解を深め学びを推進し、環境問題に関して自ら考え、判断し実行できる人材として育成することを目的としています。
最後に紹介するのは、今や協会でもブームを起こしていると言えるチリメンモンスター。チリメンジャコの中に混ざるカニや魚の赤ちゃん、それらをひっくるめてチリメンモンスター、略してチリモンといいます。チリモン自然観察会は、チリモンイベントの主催や観察会を行うグループです。地元大阪湾で採れたチリモンたちを通して自分と地元の海とのつながりを考えることを大切に活動しています。一連の流れの中で、海の観察会グループのW EB図鑑開発チームの成果として「WEBインタラク
ティブ図鑑」が完成しました。
講座・観察会パンフレットのリニューアル
文 早川 篤(理事・普及部長)
主催講座と自然観察会の紹介パンフレットをリニューアルしました。
「主催講座のご案内」では、年間スケジュールや各講座の特色を写真でわかりやすく紹介しています。「自然観察へのおさそい」は、麻生萌樹さん(会員の息子さん)による大阪のイラスト地図に各観察会の場所と内容を紹介しています。いずれも、親しみやすいものをと考えて作成しました。しかしながら、以前のパンフレットと同じ色にしたせいか新しくなったのに気づかなかったという話を耳にします。よく見ていただくと私が描いた動物のイラストが入っており、少し雰囲気が変わっています。これを機に、ぜひ機会を見つけて広く配布、活用ください。
チリメンモンスターWEBインタラクティブ図鑑を開発
文 田中 広樹(理事・海の観察会)
2010 年から始まった協会のチリモン活動ですが、2012 年は大きな進展がありました。ホームページ上のWEB 図鑑として、「チリメンモンスターWEB インタラクティブ図鑑」をきしわだ自然友の会との共同で開発しました。「インタラクティブ」とは「双方向」という意味で、利用者が自分の撮ったチリモンの写真を投稿したら、名前を教えてもらうことができて、さらに図鑑の1 ページを飾ることができるのです。2013年1 月31 日に完成し、2 月には愛媛と東京での指導者講習会もおこないました。また、このWEB 図鑑のパンフレットの無料配布により、1 ヵ月で約100 件1 万枚を全国の子どもたちに配布しました。生まれたばかりのWEB 図鑑はこれからの協会のチリモン活動の大きなベースとなりますので、ぜひ皆さんにもこの「みんなで作る図鑑」に参加していただき、「1 人でも多くの子どもたちにチリモン体験を」という目標をもって活動していただきたいと思います。