ネイチャーおおさかHP読者のみなさん


「余野川ダム事業の中止」をメールで要請しよう!!

送り先は 「国土交通省近畿地方整備局・淀川流域委員会」 などです。


  • 国土交通省は、豊かな自然の広がる大阪府箕面市下止々呂美(しもとどろみ)地区で、余野川ダム建設を中心とするダム事業を進めています。
    ダムは、開発計画が大幅に縮小された「水と緑の健康都市」計画地に囲まれるようにつくられる計画で、本体工事には着手していませんが、2002年度の予算も要求しています。
  • ところが、余野川ダムは治水面、利水面、さらに自然環境に対する負荷の面からも"ムダなダム"です。
    理由は、ネイチャーおおさか(社団法人 大阪自然環境保全協会)など7団体が提出している要請書(後述)をご覧ください。
  • そこで、みなさんに、国土交通省近畿地方整備局が設置している淀川水系流域委員会猪名川部会の各委員、淀川水系流域委員会の各委員、近畿地方整備局あてに、余野川ダム事業を中止するよう呼びかける要請文を送っていただくようお願いします。
  • というのも、近畿地方整備局は、今後20〜30年間にわたる「淀川水系河川整備計画」(余野川ダム事業などを含む)を策定しつつありますが、その際、猪名川部会など淀川水系流域委員会の意見を聴く手続きになっており、この委員会が整備計画で「余野川ダム事業は中止」と述べれば、整備局は「中止する」と表明しているからです。
  • みなさんの声で"ムダなダム"をストップさせるチャンスです。
(社)大阪自然環境保全協会・事務局
■ メールの送り方 
要請文・意見・訴えの宛先は

   「  淀川水系流域委員会 猪名川部会 各委員 様
      淀川水系流域委員会各委員・各部会各委員 様
      国土交通省近畿地方整備局          様  」 です。

宛先の下に、要請文・意見・訴えをお書きください。
内容については、
  • 「(社)大阪以前環境保全協会など7団体が提出した「淀川水系河川整備計画」において、国土交通省・余野川ダム建設などの同ダム事業を中止とする意見表明の要請」の主旨に賛同します。」という内容を記載する
  • 上記7団体提出の要請文に対する賛同の意思表明に添えて、簡単な意見を付記する
  • 「余野川ダム事業の中止をもとめる」主旨の簡単な意見を独自に述べる
などが考えられます。

メールの送信先は: 三菱総合研究所関西研究センター内 「淀川流域委員会・事務局」 (k-kim@mri.co.jp)です。

なお、淀川水系流域委員会のHPは: http://www.yodoriver.org です。
このHPでも意見の受付をしています。

 大阪自然環境保全協会など7団体が提出している要請書
2001年12月3日
国土交通省近畿地方整備局
淀川水系流域委員会 委員各位
淀川水系流域委員会猪名川部会 委員各位

要請7団体・各代表者(末尾に記載)




 謹啓

 淀川水系流域委員会ならびに同委員会猪名川部会の各委員におかれては、国土交通省の「淀川水系河川整備計画」策定に関わる様々な課題への精力的取組に敬意を表します。

 さて、ご承知の通り、国土交通省は大阪府箕面市下止々呂美(しもとどろみ)地先において、余野川ダム建設を中心とするダム事業を進めています。この事業は、猪名川総合開発事業の一つとして、「淀川水系河川整備計画」の対象となっています。

 しかし、この事業は、治水面、利水面、さらに自然環境に対する負荷の面からも必要性の極めて乏しい事業であるため、同委員会ならびに同部会の各委員におかれては、「淀川水系河川整備計画」策定に際して、余野川ダム建設などの事業を同計画に位置づけず中止とする意見を表明され、国土交通省・近畿地方整備局・猪名川総合開発工事事務所に具申していただきますよう、宜しくお願い申し上げる次第です。

                                     
謹白


・なお<別 紙>などに、本件の要請の理由を記述、添付しています。

■ 別 紙


「淀川水系河川整備計画」において、国土交通省・余野川ダム建設などの
同ダム事業を中止とする意見表明を要請する理由


(1)治水面

   余野川ダムは、一庫ダムと合わせ、基準地点(小戸)おける基本高水のピーク流量3,500m立米/秒を、計画高水流量2,300立米/秒に調節するものです。余野川ダムは自流域が5.0km2 と非常に小さいため、間接流量である余野川本川の洪水の一部を分派導水し、同ダムに貯留することにより下流の洪水を調節する計画です。

   しかし、同ダムの必要性の根拠の一つにされている計画高水量は明らかに過大であり、また、猪名川と余野川は現況の河道形態になって以来、深刻な水害を引き起こしたことはなく、さらに疎通能力向上を目指した工事が行われています。これらの点から治水面における余野川ダムの必要性はありません。

  1. 余野川は、猪名川への合流点まで一貫して築堤区間のない掘り込み河川であり、河川が現況に整備されてきた過程で、破堤や長時間浸水のような深刻な水害を生じていません。

  2. 余野川合流点から下流の猪名川は、合流点の直下流部の河積拡大工事が完工しています。それよりも下流は現況の河川に形を整えられて以来、破堤や、溢水に近い水位が記録されたことはなく、藻川分派点までの河川敷は広く、必要に応じて低水路の拡幅は容易に図れるので、一庫ダムと併せて河道内で洪水流を処理することは容易です。

  3. 【この項は算出根拠に誤りがありましたので全文削除しました(2002.1.27.)】
    関連記事は高田意見ページ


  4. 以上のように、治水に関する観点からは、計画高水量が過大であり、余野川沿川の地形と猪名川本川の整備状況から、この高価なダムは明らかに不要です。

(2)利水面

   利水面では、都市用水として1日10万立米の取水が可能な計画です。内訳は、阪神水道企業団(尼崎市、神戸市、芦屋市、西宮市の水道事業者)の水道用水として新たに1日最大9万立米(軍行橋地点)、またダム湖周辺に計画されている「水と緑の健康都市」などの水道用水として新たに1日最大1万立米の取水を可能にするものです。

   しかし、水需要の過大な算出や「水と緑の健康都市」の縮小計画提示などから、利水面でもダム建設の必要性はありません。

  1. 阪神水道企業団では水余り状況が続いており、4市の人口の動向、および水道需要の伸びをみても新規の水源を必要としていません。

  2. 2003年度に一部町開きを予定している「水と緑の健康都市」は約313fの造成で人口16500人とされていました。箕面市は、この都市と止々呂美集落への給水について、2010年で、1人1日の平均使用量を380g、最大給水量を475g、1日最大1万立米としています。その根拠は475g×給水人口20400人=9700立米であり、人口が過大です。現在の箕面市の1人1日平均使用量が272g、最大給水量が340g(1999年度)という状況をみても、明らかに予測給水量が過大です。

  3. さらに「水と緑の健康都市」は、大阪府が財政悪化などにより計画の縮小を提示しました。造成は62f(既造成分のみ)、人口は5000人まで縮減され、また関連公共負担の支払い不可能、浄水施設の費用未計上もあり、来年度予算は防災工事などに限定されました。したがって、2)の計画は明らかに過大です。

  4. また、大阪府の今年度予算で、府営水道第7次拡張計画として、「水と緑の健康都市」隣接の豊能町、能勢町への府営水道導入が決定しました。豊能町は高山地区から、ときわ台地区への送水管について、健康都市開発地域内を通過する水道管敷設を要望しました。これに対し、府は今年10月府議会で、企業局が箕面市北部水道事業の水源を見直し、府営水道の検討を表明しました。
     ダムの利水では水道料金が2倍以上になる箕面市としては、この府営水道計画変更の経過を受けとめ、余野川ダム利水計画「箕面市北部水道事業」から府営水道水源への変更の検討に入ります。こうした状況は、ダム利水の必要性をさらに低いものにしています。

(3)自然環境への負荷

   余野川ダム事業の計画地域およびその周辺は、国の環境基本計画の里地自然地域に相当する豊かな生態系を擁した里山であり、自然に恵まれない大阪都市圏にとって次世代に引き継がねばならない極めて貴重な財産です。

   ダム建設と、ダム湖を囲むように開発が計画されている「水と緑の健康都市」を含めた両事業計画地域では、1999年に種の保存法の希少野生動物であるオオタカの巣が発見され、その後、営巣(繁殖)が確認されています。また、ニホンジカなどの大型動物をはじめ、ダルマガエルなどの絶滅危惧種も多く生息し、言うまでもなく豊かな生態系がはぐくまれています。
   また特に、こうした生物相とともに、止々呂美は「昆虫の宝庫」として全国的にも注目されている地域です。
   中でも、環境庁(省)が「日本の絶滅のおそれのある野生生物」として作成された資料(レッドデータブック)で「希少種」に該当するオオムラサキは日本の国蝶としてよく知られており、自然環境の指標種としても注目されていますが、大阪府では箕面市止々呂美が数少ない本種の重要な棲息場所になっています。
   また、大阪府が発行した「大阪府における保護上重要な野生生物−大阪府レッドデータブック−」で絶滅危惧U類に該当する14種の蝶のうち、スジボソヤマキチョウ、ウラナミアカシジミ、ダイセンシジミ(ウラミスジシジミ)、キマダラモドキの4種、そして準絶滅危惧種として挙げられている15種のうち、アオバセセリ、ヒメキマダラセセリ、ウラジロミドリシジミ、ミドリシジミ、ウラキンシジミ、ウラギンスジヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、スミナガシ、ウラギンヒョウモン、クモガタヒョウモン、ミスジチョウ、オオムラサキ、クロヒカゲモドキの13種が止々呂美地区において記録されています。これらの蝶の多くは止々呂美地区で維持されてきた里山的自然環境に依存して生息しているもので、当地が大阪府内でも有数のすぐれた自然環境にあることがうかがえます。

   こうした重要な生態系が、同ダムの建設などにより直接損なわれ、あるいはダム湖に沈むことは、国際的にも重要性が認知されている生物多様性保全や、種の保存法の理念にももとります。
   しかも、余野川ダム事業では、「閣議アセス」に準じた調査だけで、アセスメントは行われておらず、今日においては少なくとも、環境影響評価法相当の環境影響評価を実施すべきです。


■ 要請7団体
安威川ダム反対市民の会 事務局長 江 菅  洋 一
大阪昆虫同好会 代表幹事 杠    隆 史
社団法人 大阪自然環境保全協会 会長 高 田  直 俊
関西のダムと水道を考える会 代表 野 村  東洋夫
紀伊丹生川ダム建設を考える会 代表 石 神  正 浩
槙尾川ダムの見直しを求める連絡会 代表 南    泰 子
箕面北部の自然と開発を考える府民の会
 余野川ダム対策部会
部会長 増 田  京 子
Nature Osaka

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