21091206夢洲・土砂投入中止と生物への配慮を求める要望書
購入土砂の投入の中止と生物への配慮を求める要望書を提出
2019年12月6日付で、各方面に対し「2025年大阪・関西国際博覧会開催にあたって 購入土砂の投入の中止と生物への配慮を求める要望書」を提出いたしました。(大阪市議会議長あては12月10日)
要望書全文を掲載いたします。
2019年12月6日付 要望書
大阪市長 松井 一郎 様
大阪府知事 吉村 洋文 様
大阪市会議長 広田 和美 様
大阪府議会議長 三田 勝久 様
公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会 会長 中西 宏明 様
提出年月日:2019年12月6日
2025年大阪・関西国際博覧会開催にあたって
購入土砂の投入の中止と生物への配慮を求める要望書
公益社団法人大阪自然環境保全協会 会長 夏原 由博
当会は、2018年11月19日付で、大阪府知事・大阪市長あてに「生物多様性のホットスポットである夢洲の自然環境保全に関する要望及び質問書」を提出しました。
それに対する大阪府 政策企画室 万博誘致推進室からの回答は、以下の通りでした。
「万博会場整備事業は、大阪市の条例に基づき環境アセスメントの対象となる事業であり、この手続きの中で動物を含め必要な調査を行い、影響を抑制するための対策を検討し、専門家の意見を含めた審査を受けることになると考えております。環境アセスメント手続きの主体は新たに設立される博覧会協会となりますが、この協会において手続きが適切に行われるよう、府としても連携してまいります。」
また、同要望及び質問書に対する大阪市 経済戦略局 万博誘致推進室からの回答は、以下の通りでした。
「2025 年国際博覧会は、平成 30 年 11 月 23 日にフランス・パリで開催された BIE(国 際博覧会事務局)総会で、大阪・関西で開催されることが決まりました。
ご指摘の生きもの保全対策についても、平成 29 年 9 月、国が BIE へ提出しましたビッド・ドシエ(立候補申請文書)によると、環境と調和した博覧会会場を形成することとなっています。
また、国連が 2030 年までに達成すべき目標を定めた持続可能な開発目標(SDGs)においても生きもの保全の重要性が掲げられており、さらに大阪府が作成した「大阪府レ ッドリスト 2014」では、生物多様性の保全上特に重要な場所である「生物多様性ホット スポット」の内、夢洲は広域的な観点で見ても特に重要な場所として選定されています。
博覧会の会場については、国、大阪府、経済界とで開催主体である法人を設立し、その法人において整備を進めていくことになりますが、大阪市条例に基づき環境アセスメントの対象となる事業であり、この手続きの中で動物を含め必要な調査を行い、影響があれば抑制するための対策を検討します。」
しかし、府市からこのような回答があったにも関わらず、環境アセスメントの手続きなしに2019年4月から万博開催のための購入土砂投入による土地造成が開始されました。事前に自然環境調査をしたような様子は見られず、また生物への配慮がなされているとは考えられません。よって、新たに以下について要望します。
購入土砂の投入の中止と生物への配慮の実施
当協会の調査で、ツツイトモ(環境省レッドリスト2019絶滅危惧II類(VU))など希少な植物の生育やコアジサシなど野鳥の営巣行動も確認されました。コアジサシは、種の保存法では国際希少野生動植物種に指定され、環境省によって保全・配慮指針が作成されています。雨水のたまった池には時には万を数えるほどのカモ・シギ・チドリが羽を休める渡りの一大中継地となっています。水辺を安易につぶせばシベリア・オーストラリア方面のルートを利用するこれらの生きものの生存行動に大きな影響を与えます。環境アセスメントの結果がでるまで、土砂投入工事を止めていただきたく要望します。
以上