20210604夢洲2区のコアジサシ繁殖保護の要望書
夢洲でのコアジサシの繁殖活動保護の要望書を提出
2021年6月4日付で、日本野鳥の会大阪支部と連名で、
夢洲2区プラスチックドレーンエリアで行われている、絶滅危惧種コアジサシの繁殖活動を保護についての要望書を提出いたしました。
要望書全文を掲載いたします。
7月7日付 大阪港湾局より回答が来ました。要望書の下の方に、掲載します。
2021年6月4日付 要望書
提出年月日:2021年6月4 日
大阪港湾局長 田中 利光 様
大阪市長 松井 一郎 様
大阪府知事 吉村 洋文 様
公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会 会長 中西 宏明 様
夢洲でのコアジサシの繁殖活動保護の要望
公益社団法人大阪自然環境保全協会 会長 夏原 由博
日本野鳥の会大阪支部 支部長 松岡三紀夫
夢洲2区プラスチックドレーンエリアで行われている、
絶滅危惧種コアジサシの繁殖活動を保護してください。
経過および理由
コアジサシは、春日本に来て、4月から8月に産卵・子育てをする渡り鳥で、国際的にも絶滅が危惧されています。夢洲では2020年5月多数のコアジサシが繁殖活動をし始めましたが工事続行で巣を放棄したことから、当協会は夢洲でのコアジサシ繁殖保護の要望を出し、大阪市港湾局と協議を重ね、2021年はコアジサシ繁殖保護エリアを準備して時期を待っていました。しかしその保護エリアは5月中の大雨で水没し、現在多数のコアジサシが、埋め立て工事中の2区プラスチックドレーンエリアで繁殖行動をしています。
プラスチックドレーンは猛禽類やカラスという天敵から身を守るシェルターの役割をするため、コアジサシが好む環境です。以前からそれを指摘し、防鳥対策は実施してくださっておりましたが、この人間の意向に反して、営巣活動を始めてしまいました。
コアジサシは非常にヒナの成長成功率の低い鳥で、集団で天敵からヒナを守ることでようやく子育てが可能です。そのため、集団が同時に繁殖できる広い営巣適地が必要ですが、自然の中で河川敷などの適地環境が激減したため、次第に数が減り、絶滅が危惧されております。環境省も指針を出し、繁殖地を保護するよう指導しています。大阪湾岸では、昨年集団繁殖の報告がありませんでした。今年は日本の他の地域でも、まだ集団繁殖の情報がなく、さらに絶滅が加速することが懸念されています。
コアジサシの場合は、いわゆる一般に想像される巣材集めをしての鳥の巣作り期間は存在せず、裸地にくぼみを作って直接産むことから、コロニーを作り始めた時点から短期間で卵がある状態となります。現地ではすでに営巣活動が始まっており、卵やヒナの存在が想定される状態です。これらを損傷することは法律違反※であり,営巣放棄させるような行為や、手を触れたりすることもそれに準じる行為になります。(※鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化にする法律 第8条 など)
以上の理由により、大至急、盛り土工事その他の施工をしばらく停止し、コアジサシの繁殖活動を保護してくださるようにお願いします。
なお、上記営巣活動の状況については、環境省近畿地方環境事務所にも連絡済みです。
以上
7月7日付 港湾局より回答
項目 |
夢洲2区プラスチックドレーンエリアで行われている、絶滅危惧種コアジサシの繁殖活動を保護してください。
大至急、盛り土工事その他の施工をしばらく停止し、コアジサシの繁殖活動を保護してくださるようにお願いします。 |
(回答) 当該エリアでは、2025年に開催される大阪・関西万博の会場の一部を整備するため、2018年度末より土地造成工事を行っています。 本工事エリアのうち、コアジサシが集団で産卵している場所を大きく取り囲んだ約49,000平方メートルについて、コアジサシの繁殖活動を保護する区域とし、盛土工事を当面の間中止するとともに、工事関係者の立入りも禁止しています。 |