20210303緊急共同声明
「夢洲超花火」の5月4日開催は正式に延期を発表
コアジサシの繁殖期間における夢洲での花火イベントについて日程変更を求める声明にご協力くださったみなさま、応援くださっていたみなさま
この度はほんとうにありがとうございました。
花火イベント公式ページに、当初予定の5月4日から日程を変更することが決定した旨とその理由が3月23日夜、公開されました。
変更後の日程は、まだ未定となっています。
派手な報道発表はありませんでしたが、周辺地域の営業計画などにも影響するので、今回は延期の旨だけの発表となりました。
延期表明は、こちらの公式ページのトップに昨晩掲載されました。
夢洲超花火
https://expo2021.jp/
変更後の日程は、現在8月中旬を予定しているようですが、いままだ調整中のものがいつかあり、開催日程を同時に発表できなかった、と聞いております。
変更決定の連絡から正式発表まで時間がかかり、不安もありましたが、何度かイベント実行委員会側とも接触し、誠意ある対応をみせてくださっていたので、2025年万博予定地・夢洲をめぐる計画においても、今後の自然環境をまもる立場で、協力させていただけるのではないか、と思っております。
また現在、大阪港湾局とは、コアジサシ繁殖エリアの環境整備に協力して取り組んでおり、現地の施工業者である五洋建設様にも、多大なご協力をしていただいております。
自然のことなので確実はないですが、5月には夢洲に集団コロニーができるよう、できる限りのことをして、自然の大いなる力に期待したいと思っております。
今後とも、どうぞご指導ご支援、よろしくお願いいたします。
2021年3月24日
共同で緊急声明を出しました
2021年3 月3日
コアジサシの重要な繁殖地である夢洲において
予定されている大規模イベントについての緊急声明
公益社団法人 大阪自然環境保全協会 会長 夏原由博
公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤孝一
日本野鳥の会 大阪支部 支部長 松岡三紀夫
(アイウエオ順)
大阪・関西万博の予定地である夢洲(ゆめしま)は、大阪湾の北東奥に位置する人工島です。ここは40年にわたって浚渫土や焼却灰・産業廃棄物などが運び込まれて、土地が形成されてきたところですが、偶然多様な生態系が生まれ、そこには季節ごとにさまざまな渡り鳥が訪れ、絶滅危惧種の生きものなども確認されています。
大阪自然環境保全協会では2018年から生きもの調査をしていますが、2020年4月に、絶滅危惧の渡り鳥コアジサシが、夢洲に多数来ていることを発見し、3区の砂礫地で多くのつがいが繁殖行動をしているのを確認しました。
現在夢洲全島急ピッチで埋め立て工事が進んでおり、2020年のコアジサシの繁殖は工事の続行で失敗しました。その後、大阪港湾局と協議を重ね、工事計画の調整を得て、今年のシーズンには、コアジサシの集団繁殖エリアを夢洲内に確保していただくことになりました。
しかし、この場所で、5月4日に花火の大規模イベントが計画されていることが発表されました。
コアジサシは、繁殖場所への人の立ち入りや上空の飛行物に対して非常に敏感な鳥です。よって、繁殖期間中である4月末から7月末まで、夢洲および夢洲上空域での花火やドローンの飛行をともなうようなイベントの開催、ならびに繁殖予定地近くへの立ち入り行為はすべきでありません。
すでに昨年から、繁殖地を確保している夢洲では、繁殖成功を第一に考えるべきであり、現在5月4日に計画されている大型イベントは、4月中旬までに実施するか、ないしは8月以降に日程変更すべきです。
(理由)
1. コアジサシは環境省が絶滅危惧Ⅱ種に指定している渡り鳥で、4月末から8月初め頃まで日本に滞在し、繁殖子育てをする。国際的にも絶滅が懸念されており、日本の繁殖地を守ることは国際的な日本の責務である。
2. 大阪ではコアジサシ繁殖適地の自然河川・自然海岸が激減しており、コアジサシは繁殖地として関西空港建設地など造成工事現場などを選ぶ傾向がある。
3. 夢洲では2020年以前からも、コアジサシの集団繁殖が確認されており、そのため、大阪府では夢洲を生物多様性ホットスポットの重要Aランクに指定している。大阪市も生物多様性戦略を策定しており、コアジサシを「保護上注目すべき生き物」として選定している。
4. 「環境省のコアジサシ繁殖地の保全・配慮指針」では、繁殖予想地域への立ち入り規制、繁殖開始後には、その場所には立ち入らず、繁殖が終わるまで待つことが保全につながると示されている。
5. 鳥獣保護管理法では、鳥獣および鳥の卵を損傷することが禁じられている。卵やヒナが認められる時点で繁殖活動を妨害する行為は、鳥獣保護法に違反する可能性がある。花火やドローンなどのイベント、人の立ち入りは、親鳥が卵やヒナを放棄して逃げ去ることが想定されるので、繁殖期は避けるべきである。
6. 夢洲での2020年度の繁殖行動確認推定個体数は500羽であり、この規模の個体数は大阪湾最大規模である。2020年は大阪湾のほかの場所でこの規模の集団繁殖の報告はなく、大阪湾に繁殖適地がないことは否めない。
7. 大阪府、大阪市、2025年日本国際博覧会基本計画もSDGsをかかげており、その中には「生物多様性の損失の阻止を図る」など生物や環境の保全にかかる項目があり、これに相反するような行為は厳重に慎むべきである。
以 上
(賛同団体 3月3日正午現在 アイウエオ順)
公益財団法人 日本自然保護協会
日本自然保護協会 自然観察指導員大阪連絡会
特定非営利活動法人 日本バードレスキュー協会
鉢ヶ峯の自然を守る会
一般社団法人 バードライフ・インターナショナル東京
認定NPO法人 バードリサーチ
公益財団法人 山階鳥類研究所
(賛同団体 追加記載 賛同日順)
野鳥生活
日本野鳥の会愛知県支部
(参考)
大阪自然環境保全協会 コアジサシ保護活動の流れと2020年コアジサシの写真記録
https://www.nature.or.jp/action/yumeshimamirai/
環境省・コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針
https://www.env.go.jp/nature/kisho/guideline/koajisashi.html
英国における保護事例
https://littleternproject.org.uk/about-the-project/
声明についてのオンライン説明会は終了いたしました。
3月8日午後4時30分より、約1時間程度で、オンラインで説明会をいたします。
オンライン説明会は終了いたしました。多数のご参加ありがとうございました。
追加の質問などありましたら、どうぞお気軽にメールください。
なお、賛同してくださる団体様、これからも募集しております。
よろしくお願いいたします。