【声明】私たちは、戦争につながる安全保障関連法案に反対します
声明
2015年8月14日
私たちは、戦争につながる安全保障関連法案に反対します
公益社団法人 大阪自然環境保全協会 理事会
私たちは、生態系の健全な営みの下でのみ人類が生存しうると考え、大阪において自然環境の保護保全に努めてきました。いま国会で審議中の安全保障関連法案は、集団的自衛権に道を開き、他国にまで戦闘の手を伸ばすことを可とするもので、憲法に違反しています。「戦争をする国」への道をくい止め、戦火による環境破壊を防ぐために、私たちはこれらの法案に強く反対します。
戦争は最大の環境破壊です。戦火により尊い人命が奪われ、かけがえのない自然環境・生きものたちも巻き込まれて犠牲となり、あるいは回復しがたい損失を被ります。たとえば、富国強兵に伴う林野の収奪と戦後の行き過ぎた造林、広島・長崎の原子爆弾、ベトナム戦争での枯葉剤散布、イラクの劣化ウラン弾による放射能汚染などが、今も生態系に悪影響を残しています。第一次~二次世界大戦時には、多数の軍馬や軍犬が「動物兵士」「活兵器」として戦場に送られました。軍用毛皮採取のために野生動物が際限なく捕られ、野生動物が減少すると代用としてヌートリアを移入、戦後には放置したため、今では「特定外来動物」となって、後世にまで負の遺産として残されています。
戦争は、すでに温暖化現象によって深刻な危機にある地球の上で、さらに生態系の損傷・破壊を引きおこします。安全保障関連法案により、日本が戦争に加担し自然環境への加害者に加わろうとすることは、とうてい認め得ることではありません。
私たちは、自然環境保護団体の立場から、戦争につながる安全保障関連法案に強く反対します。
以上
この声明の経緯
7月31日の理事会で、「安保法案に反対する環境NGO共同声明」に賛同することを承認し,また同時に協会としての反対声明を出すことにしました。
皆さんもTV・新聞などを通じて、今国会で「安保法案」をめぐる審議の進行についてはご存知と思います。「安保法案」反対の動きは自然・環境の分野にも広がっています。協会
へもこの「環境NGO共同声明」への賛同依頼・呼びかけがいくつも来ていました。また、会員さんからもこの「環境NGO共同声明」に賛同するように意見が寄せられていました。
これらを受けて、理事会の議題に取り上げることになりました。理事会の討議の中でも、多くの理事が「安保法案」に対して個人的には反対であるとの意見が多かったようです。しかし、組織としての保全協会が反対の意思表示をすべきかで意見を交わしました。
論議の中心は二つありました。1つは自然保護団体と「安保法案」の関係です。これは声明文にも詳しく書かれています。「安保法案」は、戦争に門戸を開き、自然破壊の戦争に導くもの、それに対して保全協会のスタンスは定款の目的にもありますように「私たちは、人類が生態系の健全な営みの下でのみ生存できること、及び人為による生態系の損傷・破壊が深刻化していること、これらが人類の広範な社会活動に起因していることを強く認識する。」ということであり、「安保法案」と保全協会は相いれないものであるということを確認しました
2つめは理事会が独自にこのような決議(声明文)をしてもよいかということです。この点については、すでに「都市と自然」435号(2012年6月)の「原発と民主主義」(投稿欄)にも述べられています。本来の協会の活動の指針は総会で決めます。しかし総会と総会の間で起きた重要用事項については、協会運営に責任のある理事会が、協会の理念・目的に従って判断できると考えています。当然会員さんの中には異論・反論も無いとは言えません。それらに対しては、誠実に対応し、最終的には総会での議論になると考えています。
このような話合いの結果、協会としても「安保法案」に反対の立場をとることで一致しました。これに並行して「都市と自然」9月号も「戦争と動物たち」というオピニオンを掲載するなど反対アピールに連動させた記事も掲載するようにしました。