大阪府のシカ保護管理検討案へのパブリックコメント
〈提出先〉
大阪府環境農林水産部動物愛護畜産課野生動物グループあて http://www.pref.osaka.jp/doubutu/yaseidoubutu/keikaku_public.html
提出年月日:2011年11月30日
シカ保護管理検討案へのパブリックコメント
(社)大阪自然環境保全協会
1.モニタリングを強めてください
最近の府の方向は、捕獲数の緩和や猟期の延長など捕獲に重点が移っていると考えます。ところが、第3期計画では、第2期計画と比べてモニタリングへの施策が後退していると考えます。シカの推定生息数の算出の取りやめなどシカの生態に対する科学的調査が軽んじられていると考えます。
シカの生息状況が把握できるようモニタリング体制の強化の方向での見直しを強めてください。
2.生態系の保護を重点的に取り組むようにしてください
シカの問題は今や農林業被害だけにとどまらず、その旺盛な食性から周辺の生態系への影響がますます重大になっています。より重要な位置づけが必要と考えます。
第3期計画案には本山寺、箕面清水谷など個別の地名をあげて「貴少な植物」の衰退を述べられていますが、その後の対策などが欠落しているのは理解に苦しむところです。大阪府の貴重な自然であり、府も認定している本山寺自然環境保全地域のモミ・ツガ林も衰退し、更新があやぶまれています。
私たち大阪自然環境保全協会では、本山寺、地元団体などと協議会を作り生態系保護の活動を行っています。箕面清水谷でも市民が保護活動を行っています。生態系の保護の手始めとして、これらに行政からの支援も検討ください。
3.予算措置を十分にしてください
前回から引き続き諸政策が述べられていますが、予算的に十分なのでしょうか?
生息環境の整備、資源としての活用、被害対策等の研究推進などが単にお題目に終わらないように予算措置をお願いします。
野生動物の保護管理について基本的な考えを述べておきます。
大阪府のシカ対策は一貫して起きた事象に対する事後対策として進められています。大阪府がこの姿勢を変えない限り抜本的な対策案は出てきません。
本来日本ジカを含む日本の野生動物の保護・管理は生物多様性保全(保護)の国家戦略として基本計画が立てられ、それに基づき大阪府は地域の生物多様性保全に関する地域計画を立てる必要があります。この地域の計画では生物保全(生態系保全)に関する具体的方策が求められます。
たとえば「棚田における水田生物保全計画」や「里山保全地域における野生生物保全・管理計画」
「淀川等各地の河川・ため池等の水系生物保全計画」などといった具体的施策の立案と、その実施のためのプロセスと手法及び実施プログラムが必要です。
そのためには計画の各段階でのモニタリングが必要不可欠となります。また、本山寺のように生態系全体に影響がある場合の「生態系変動」に関する定量的調査の資料は少なく、継続的に進められれば貴重な資料となると思います。
以上