都市と自然誌抜粋(トピック)No_433_201204


  「都市と自然」誌の内容を一部ご紹介します。
今後は、広くみなさんに当協会の活動を知って頂くために、「都市と自然」からピックアップして転載していく予定です。


「都市と自然」第2の誕生!

 

文 金谷 薫(副会長・編集委員会)

「都市と自然」4月号が発行421号目にして、初めて全面カラー化しました。総会や理事会の中でやや願望気味に「都市と自然」のカラー化が言われたことはたびたびでした。この案件は、今までほとんど顧みられることはありませんでした。しかし、内部的には編集協力のNPO法人E.D.E.N.さんやデザイン畑出身の編集委員の存在が後押し、外部的には印刷技術の発展と価格競争のため、想像以上に安くできるということが分かりました。カラー化はその半年くらい前から検討・準備に入り、年度替わりに移行しました。
より見やすく楽しめるように文字サイズを拡大しカラー化しました。今まで分かりにくかった写真のページが見易くなっただけでなく迫力あるものに変貌しました。いよいよ、外面だけでなく、内容のより一層の充実が求められる時期にも来ています。


協会ホームページを10年ぶりにリニューアル

リニューアルされた大阪自然環境保全協会ホームページ

文 栗谷 至・田中 広樹(共に、理事・ホームページ委員会)

協会ホームページがスタートしたのは2001年6月でした。その後、インターネットの環境も大きく変わり、公益社団法人に向けてWEBをさらに効果的に活用していくため、10年目の2011年8月17日に協会ホームページをリニューアル公開しました。

この1年前の2010年7月に、協会ホームページで寄付や会員獲得ができるような仕組み(Webエコプロジェクト)に連動したサイトリニューアルの計画が出されました。
1年がかりでリニューアルされた協会サイトはCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)という更新管理の仕組みを採用しましたので、ホームページ委員を含め、大勢で更新作業を分担できるようになりました。このシステムの実現により、協会らしいサイト運営の基盤ができました。
その後、この特徴を活かして分担してさらに整備作業を進め、現在担してさらに整備作業を進め、現在を掲載することができるようになりました。また、協会ホームページからの様々な問合せや入会申し込みも徐々に増えつつあります。

いまや協会の顔ともいえるホームページ、かなり頑張って作りましたので、ぜひみんなで活用していきたいものです。


「みんなでセミ羽化ウォッチングinおおさか」を初めて開催

中大江公園でのセミ羽化ウォッチング

中大江公園でのセミ羽化ウォッチング

文・写真 田中 広樹(理事・普及部)

里山一斉調査が30年も、どんぐりまつりが20年も続いてきたのに比べ、これまで「セミの羽化」は一斉行事としては実施されてきませんでした。2011年7月、協会設立35周年記念事業の一環として、「みんなでセミ羽化ウォッチングinおおさか」が初めて行われました。
結果としては、大阪府下9ヵ所で「セミ羽化観察会」が開催され、約400名の参加者がセミの羽化を観察しました。これまで各観察会グループで長年培ってきたノウハウを持ち寄って制作した「かんさつノート」を、 すべての参加者に配布しました。また、観察会だけでなく、ご近所で気軽に観察できるように「大人向け講習会」も4ヵ所で開催しました。
今回は、これまでそれぞれ別々にセミ羽化観察会を行ってきた様々な観察会グループや空の会昆虫部会など、多くの人が何度も集まり、セミに関する情報や観察会のノウハウを共有し、意見交換を重ねて、初めてのイベントを作り上げたこと自体が、非常に大きな成果でした。今後も協会の看板イベントの一つに育てていけるよう、アイデアを出し合って、「みんなで」盛り上げていきたいと思います。


20周年を迎えた「そよごの会」

20周年記念懇親会にて

20周年記念懇親会にて

文・写真 大塚 陽一(そよごの会副会長)

「そよごの会」は、第1回自然観察インストラクター養成講座の修了生が1991年に結成、20周年を迎えました。
主な活動は結成当初よりほぼ毎月行っている定例会と機関紙「そよご誌」発行を継続中、9名の編集長に引き継がれ230号を重ねました。
特筆すべきは、会員が中心となり立ち上げ、現在も活動を続けている「地域観察会」が14にも上ったことです。この間、PR用のリーフレットを2版にわたり発行、主催する公開観察会は年間延べ百回を超え、約2千名もの参加者を集めています。
節目となる2011年度には、記念行事として「講演会」(テーマ:自然保護につながる自然観察会、講師: 菅井啓之氏)を開催、その後の「懇親会」には各期の修了生40名が集い交流を深めました。加えて、創立からのあゆみを総括し、11期以降の修了生の活躍を記した「そよご20周年記念誌」を発行しました。また、当会からの働き掛けで「そよご誌」を「都市と自然」に同封することが実現、発送費削減による経費の大幅削減が可能となりました。
今後も、世代・地域・分野を超えて仲間と共に学び助け合い、楽しみながら取り組むことにより、新たな発展を誓い合いました。


信太山丘陵に里山自然公園を!市民の願いの実現へ

リーフレット「信太山丘陵に里山自然公園を!」

文 金谷 薫(副会長・信太山に里山自然公園を求める連絡会)

2011年9月の和泉市議会本会議は、「信太山丘陵の市有地(16ha)の自然環境の保全に関する請願書」を僅差ながら採択しました。和泉市議会で請願が採択されたのは珍しく、市議会の良識を示すとともに、信太山の自然を守ろうとする市民運動を大きく前進させるものでした。
この間、街頭署名などで大きな力を発揮したのは、カラー刷りの「信太山丘陵に里山自然公園を!」というタイトルで作られたリーフレットでした。保全協会は地元市民を中心に作る「信太山に里山自然公園を求める連絡会」に参加しています。このリーフレットは、連絡会の要請を受け、協会の「特定自然保護活動推進資金」により作成されました。今回は、その地域に会員数が少なくても、保全協会の地域の自然保護活動への関わりの一つの方法を示したものと考えます。
今年9月には和泉市議会議員選挙があります。民の願いの実現までには、まだまだ予断を許さない状況が続きます。


チリメンモンスター(略称チリモン)

チリモン探しに夢中になる子どもたち

チリモン探しに夢中になる子どもたち

文・写真 岡和田 齊(理事、対外自然協力隊代表)

大阪湾でとれるチリメンジャコを題材に、親子で楽しめる海の宝物さがしのプログラム「チリメンモンスターを探そう」を紹介します。
昨年初頭田中広樹理事より「チリモン」メニューの立ち上げの提案があり、2月に担当者と詳細を話し合った結果、西田百代さんを中心メンバーとして協力隊の新メニューとして本格的に取り組むことになりました。この3月までに大小12のチリモンイベントを受託・実施し、1日4回120人以上の親子に楽しんでもらったイベントもありました。
チリメンジャコはカタクチイワシの幼魚を茹で乾燥したものですが、イベントでは他の魚の幼魚やタコ・イカ・エビ・カニなどの幼生も混ざった「チリモン用のチリメンジャコ」を取り寄せて使用しています。
チリモン探しは、生物の多様性を学び、海の中の食物連鎖を理解し、大阪湾と私たちの暮らしとのつながりを考える「環境教育プログラム」です。「対外自然協力隊」では月1回の勉強会をしながら、目玉のメニューとして続けて行きたいと思っています。

チリモンは「きしわだ自然資料館」の協力団体「きしわだ自然友の会」が確立した学習メニューで、その許可を得て実施しています。




環境倫理シンポジウム「自然を愛する」とはどういうことか

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

文・写真 道下 雄大(理事・シンポジウム実行委員長・環境倫理談話会代表)

自然環境を客観的に直視するのはもちろん大切ですが、それと同様に「自然を愛する」という心の現実を直視するのも重要である。このような主旨で2011年9月17日(土)にシンポジウムを実施しました。前例の無い企画でしたが、大阪府立大学・現代生命哲学研究所と里環境の会との共催とし、多くの人々の協力を得ながら満足のいく結果を得ました。83名の方が来場し、スタッフなどを含めると100名以上でした。道下の基調報告に続き、森岡正博、瀬戸口明久、福永真弓各氏の学術的な講演を行い、さらに休憩後、参加者からの質問を含めたパネルディスカッションを行いました。各講演は自然保護に新しい視点をもたらす可能性を持った内容ばかりでしたが、個別の環境問題に対する統一的見解はあえて出しませんでした。森岡氏の終わりの挨拶は「環境倫理学には『問題を設定して提言を導くこと』『多様な意見から想像力を活かしてお互いに気づきあうこと』という二つの側面がある」でした。パネリストや来場者たち、そして企画前に詳細な意見を寄せてくれた67名の人たちをいま思い出すと、この二つの側面を自然保護に関る人たちが実行する日は決して遠くないと感じました。


土地トラスト活動もスタート

自然保護トラスト活動マニュアル

文 岡 秀郎(理事・トラスト研究会)

2011年度には土地トラスト活動にも取り組み、土地の寄付受付を始めました。里地里山や孤立緑地、農地などは今も容易に開発されており、トラストはそれらを回避し予防的に保護するシステム。自然環境の総量が減少することを少しでも防ぐため、自然を保護すべき一手段として実施に至りました。この活動では、トラスト活動に関する調査を行い、「自然保護トラスト活動マニュアル」(A4判22ページ)をまとめました。


堺2区生物共生型護岸での自然観察会

堺2区生物共生型護岸

堺2区生物共生型護岸

文・写真 田中 広樹(理事・堺2区自然観察会)

堺市西区にある産業廃棄物処分場、堺7-3区の共生の森は有名になりましたが、そのもっと内側にある堺2区と呼ばれる埋立地に、2009年12月に生物共生型護岸が設置されたのはあまり知られていません。これは大阪湾再生のために設置された実験施設で、大和川の河口付近に長さ90mの人工の磯や干潟が作られているのです。2011年1月に協会の地域観察会グループとして「堺2区自然観察会」を立ち上げ、約20名のスタッフが集まりました。
3月の第1回は雨で流れましたが、5月、6月、9月に観察会を実施しました。6月の観察会では「大阪湾生き物一斉調査」にも参加しました。またこの護岸の愛称を募集し、「友海ビーチ」(ユカイビーチ)という名前が決まりました。カレイの赤ちゃんやヤマトシジミなど、毎回いろいろな生き物が新たに発見されています。
2012年も4月、6月、9月に観察会を実施します。水鳥調査、ヨシの植栽、潮だまりの設置、ハゼ釣りの試行など、ユカイな企画も目白押しです。毎回、どんな生き物が新たに登場するかほんとにワクワクします。普段は立ち入りできない護岸施設で、来年以降どうなるかも未定ですので、ぜひ今年のうちに観察会にお越しください。


図書館巡回展示と工作教室

自然工作教室にて

自然工作教室にて

文・写真 原田 義則(対外自然協力隊運営委員)

昨年、大阪市立図書館より、2011年度の年間行事計画への参加依頼をいただきました。大阪市立図書館を対象に、各館持ち回りで「自然工作」の展示をし、いくつかの図書館ではそれに対応して工作教室も開いて欲しいという内容でした。協会としては図書館という市民に馴染みのある場所を使わせていただくというスタンスで、保全協会の活動や考え方を市民に伝える場として積極的に活用していこうということにしました。
2011年度は6館に作品展示を、4館で自然工作を実施しました。展示内容は自然工作(どんぐり細工、草木染め、ミニタペストリー、木端細工など)、干潟に関する展示(写真やパネルなど)。自然工作は子ども達を対象に、どんぐり細工、木端細工、ミニタペストリー作りを体験してもらいました。結果、大変好評で、2012年度については更に9館展示、6館での工作教室やチリモンの依頼申し出を頂いている状況です。この間、展示用の素晴らしい作品サンプルや資料を多数ご提供頂いた協会スタッフの皆様、本当にありがとうございました。


本山寺の森林を守るために、さらに大きな広がりを!

2011年に設置した植生保護柵 写真:大塚陽一

2011年に設置した植生保護柵 写真:大塚陽一

文 金谷 薫(副会長・本山寺自然環境保全地域を考える協議会)

大阪府自然環境保全地域に指定されている本山寺周辺のモミ・ツガ林を守る運動も2年目が終わりました。2011年度も協会から頂いた特定自然保護活動推進資金で、植生保護柵の設置や植生調査を継続しました。2年間にわたった植生調査から、奈良教育大学の松井先生は、「32年前と比べると、みどりの量としては増えてはいる一方で多様性は低下しており、このまま放置すればモミツガ林の衰退は避けられない。シカの影響は大きいのではないか。と指摘されています。
いま全国的にシカの食害問題が起こっていて、それらは植生破壊から始まり、山地崩壊へと連鎖しています。本山寺で起こっている問題は全国的にも起こっている問題です。私たち市民団体、学識経験者だけでなく、広く行政、地元などと連携を考えないと解決できないと言えます。この広がりを大きくしていくことがこれからの課題と言えます。


ネイチャーおおさか 公益社団法人 大阪自然環境保全協会

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